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カネロvsトラウト 結果&レポート

2013年4月21日

alvarez_vs_trout_3_20130420_1960681415面白かったんだけどスッキリとはしない。なんとも歯がゆいファイトだった。公式観客数39427人を集めた今年屈指のビッグマッチは完全決着には至らず、同時に両者のキャリアに次章への期待と課題を残した結果になった。

序盤戦の緊張感、緊迫感はまさに一流同士に激突に相応しいものだった。トラウトがスピーディなジャブで先手を取れば、カネロはそれを巧みにかわしビッグショットを投げつける。一瞬あとにどちらにペースが傾いてもおかしくない、息の詰まる攻防が続いていく。ここでサプライズだったのはカネロのディフェンスだ。トラウトのクイックで滑らかなコンビネーションを、それ以上に冴えるボディワークで封じていく。まさかカネロのディフェンスがここまでトラウトを悩ませるとは全く思わなかったのだが、結果的にこの点が勝敗を大きく左右することになる。

試合のターニングポイントは恐らく6Rだった。お互いに観察戦をほぼ終えたこのラウンド、序盤にカネロが非常に良いパンチを複数決めトラウトに明白なダメージを与える。しかしカネロはここで追撃するのではなく、逆にラウンド後半のほとんどを後退してのディフェンスに費やした。この光景が以降の試合の流れを決定付ける。

そして続く7R、カネロの長く痛烈なワンツーが火を吹きトラウトが崩れ落ちる。彼にとってプロキャリア初のダウンだ。このまま一気に試合が終わってもおかしくないほどの倒れ方だったが、ここでもカネロは決着をつけには行かず逆にトラウトがラウンド後半を抑えてみせた。トラウトの根性はあっぱれなのだが、なぜカネロがここでフィニッシュを狙わなかったのかはよくわからない。詰め切れなかったのではなく詰めようとしなかったという事実に首をひねりたくなってしまう。

ともあれこれ以降ゲームの展開はほぼ確定した。トラウトが攻め続けて手数で上回り、カネロが下がりつつ強打を打ち込んで主導権を渡さない。戦前の予想とは全く真逆の光景が広げられ、採点困難なラウンドが連発する。ジャッジによってスコアが真っ二つに割れてもおかしくなかったが、8ラウンド終了後の公開採点ではフルマークが1人、のこる二人も5ポイント差、1ポイント差でカネロを支持。この時点でトラウト判定勝ちの線はほぼ無くなった。それにしてもここでフルマークとは信じられない数字だ。

ラストラウンドはカネロが明らかに流して試合終了。最終スコアは115-112,116-111,118-109でメキシカンヒーローを支持した。

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判定に関して僕の意見を述べておこう。まず118-109という数字はありえない。驚愕のスコアだ。トラウトが2ラウンドしか押さえていないというのはいくらなんでも無理がある。このスコアを下したクリストドーロ―氏は大ベテランジャッジではあるが、いよいよこれからのキャリアを真剣に考える時期が来たのではないか。しかし同時にカネロの勝利という結果自体は不当判定と呼べるようなシロモノではない。微妙なラウンドが非常に多く、ジャッジの見方次第で勝敗は分かれたはずだし、強いていうならダウンを奪ったカネロのほうがやや有利だったかな、というのは別に全然おかしくない判断だ。もちろん攻勢点を重視するならトラウト快勝という見方も出来る。つまるところどちらの選手も完全には勝ちきれなかった。個人的にはドロー相当ないし僅差でカネロかなと感じた。

それにしてもこの試合におけるカネロの戦法には驚かされた。純粋なアウトボクサーであるトラウトが前に出て、カネロが少ない手数でカウンターをピックアップして勝利するなどと誰が予想できただろうか。これによってカネロのスタミナ難を指摘する声は当然出てくるだろうが、あるいは試合中に何らかのトラブルがあったのかもしれない。逆に評価を著しく上げるのはディフェンス面だろう。今回の勝因はノックダウンではなくディフェンスにある。スタミナの落ちた終盤でもトラウトの連打の大半を外し続けた防御能力は本物と言って良い。距離を問わないパンチの強さと相まって、どんなスタイルのボクサーにとっても嫌な選手に育ってきた。

トラウトは最後の最後まで攻め続けたが、これぞというような見栄えの良いパンチを打ち込むことはついにできなかった。圧倒的なアウェーゲームにおいてジャッジをねじ伏せるだけの説得力には欠けていたと言わざるをえない。試合後のインタビューでは一切の言い訳をせず、「彼のほうが優れていた。優れた者が勝った」と敗北を受け入れた。「私が準備していたのとは全く違うファイターだった」とカネロの意外な作戦にしてやられたことも認めている。それでも彼の勝利を支持する人は決して少なくない。彼の商品価値はこの惜しい敗戦でむしろ上がったのではないだろうか。

総じて楽しめる試合ではあったが、カネロの消極策が奥歯に物が挟まったようなスッキリしない後味を残すことになった。加えてしつこいようだが「118-109」が内容にも判定結果にも泥を塗る事になった。カネロには次戦でこのマイナスを払拭するような力強い試合が求められるだろう。

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