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結果:マティセvsピーターソン、アレキサンダー “爆発!!”

2013年5月19日

デボン・アレキサンダーvsリー・パーディ

近頃は「強いけどつまらない選手」の代名詞になりつつあったアレキサンダーが久しぶりに力強いストップ勝ちを飾った。といっても相手は本来やるはずだった無敗の指名挑戦者ケル・ブルックではなく、ブルックの負傷で代役としてリングに上った英国のローカル選手パーディ。しかもパーディは計量をクリアすることができず試合前にタイトル挑戦資格を失うことに。焦点はウェイトオーバーのパーディを相手に王者が王者たる所以を見せることができるかに絞られた。

そしてその目的は達成された。運悪く初回に左拳を痛めてしまったデボンだが、いつになく攻撃的なファイトで相手を圧倒、突けいる隙を全く与えなかった。痛めた左は軽い捨てパンチやボディ打ちに徹し右のパワーショットを多彩なコンビで打ち込むことでタフなパーディをほぼ完封。特に十八番であるアッパーをコンビの中に巧みに差し込むスキルは見事だった。技術、パワー、頭脳にパワーショットを打ち続けるスタミナと全ての面で世界レベルと国内レベルの差を見せつけたと言って良い。パーディの見せ場はタフネスだけ、それも7R終了後に自分のセコンドに試合を止められ踏んだり蹴ったりの有様だった。

今回は快勝のデボンだがこの相手にどう勝っても得るものは少ない。彼のウェルター級王者としての真価はブルックとの決着、もしくは他のトップクラスとの戦いまで証明はされない。しかしまだ26歳にすぎない“アレキサンダー大王”の技巧にこの日見せたようなパワーとアグレッシブが加われば誰にとっても厄介な相手になるはずだ。

ルーカス・マティセvsラモント・ピーターソン

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ボクシングの原点にして最大の魅力は相手をぶっ倒すことだ。いくら理屈をこねたところでこのスポーツの最も根源的な訴求力が豪快なノックアウトであることは論をまたない。そして今最も荒々しくその魅力を放っているのがこの南米産の“ザ・マシーン”ルーカス・マティセであることも間違いないだろう。

それにしてもおっっそろしい破壊力だ。2Rで奪った最初のダウン、あれはテンプルというよりもっと前方、額に近い部分にミートしたにもかかわらずピーターソンを腰砕けにしてしまった。更に3Rに奪ったダウンは完全なる相打ち、つまり全く同時にお互いのフックがヒットしたというのに吹っ飛んでいったのはピーターソンだけ。これはズルい。もんどりうちながらもなんとか立ち上がり続行に応じたIBF王者を待っていたのはダメ押しのダウンであり、ここでレフェリーストップ。ファイトオブザイヤー候補ではとも予想された白熱のマッチアップは劇的なワンサイドゲームに終わってしまった。リングサイドのダニー・ガルシアの胸中はいかばかりか。

試合後の勝利者インタビューにおいて他ならぬゴールデンボーイ・プロモーションのCEOであるリチャード・シェーファーがマイクを奪って叫んだ。「新しいマニー・パッキャオだ! アルゼンチンからやって来た、彼の名はルーカス・マティセだ!!」 これはマティセはもはやかつてのような日陰の怪物ではない、GBPが全力で“ザ・マシーン”をスーパースターに押し上げるという表明にほかならない。ジュダー戦の悔しい判定負けで本格的な米国進出の門出につまづいてから二年半、ついに彼はここまで辿り着いた。ファイトマネーもキャリアハイの70万ドルに達している。

マティセはまさに天性の、破格の強打者だ。あんなのは練習してどうにかなるものではない。持ってる奴は持ってる。持ってない奴は――つまりほとんどすべての人間は――一生持てない。打ち方がどうとかいう以前の話だ。同時に彼はただの一発屋のブンブン丸ではなく、ここ数戦で技術的な厚みも更に増している。例えば右のボディフックを長い距離からコネクトして相手の脚を止める場面などにそれが現れている。よく比較されるゴロフキンと比べた場合、五輪銀の彼のような超ハイレベルの基本技術は身につけていない。隙があるかと問われれば確実にある。

ただしマティセにはもう一つの大きな強み、野生の勘がある。理屈抜きでいつ強打をぶち込めば当たるかというのが本能でわかっているのだ。そして彼のパンチは数字上のリーチ以上にグーンと伸びる。それは彼が全身のバネを思い切り活かして打つからだが、その長さのおかげでリーチとスピードのあるピーターソンのジャブにロングの右クロスを当てて効かせることができた。最初のダウンはこれによるダメージがあってこそのものだ。つまり対戦相手にとってはくっついても地獄、離れてもいつ爆発するかわからない爆弾を相手にしているようなもので危険極まりない。

目下彼の最大の弱点は英語力かもしれない。一口に英語が話せないといっても実際にはレベルはまちまちだが、どうやらマティセは本気で全く話せないらしい。米国でスターになりたいのならやはりそこは鍛えておくべきだろう。デラさん良い教師つけてあげてよ。

さてこの勝利によりSライト級最強と呼ばれていいだけの力を示したマティセだが、『最強』を本当に証明するためには最後の関門であるダニー・ガルシアを倒さなければならない。その事情はガルシアにとっても同じだ。この試合の勝者が文句なく世界最強を名乗ることになる。GBPはその決戦を9月7日のワシントンDCにセットしようとしている。まだ正式決定ではないが、実現すれば垂涎のビッグカードだ。

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4件のコメント
  1. KOKO permalink

    カーンさんは・・・(笑)GBPのプランではマティセVSガルシアの勝者と対戦とか言ってませんでしたっけ?
    なんでカーンさんがシード扱いなのかわかりませんが。
    マティセのパンチはキレはあんまりなさそうで重いパンチなんでしょうけど、伸びますよね。ジュダー、スパー経験のあるモズリーも「アイツのパンチ力はヤバイ」的なコメント出してましたね。2人とも自身が強打者なのに。
    ピーターソンもAクラスではないにしろ結構強い王者ですよね。この勝ち方は驚きました。パッキャオも訛ってても結構英語喋ってるんだし、マティセも頑張って欲しいですね。英語はこのスポーツで本当のスター選手になるには必須に近いですね。日本人選手もそのへん意識してもいいと思うんですけどね。一般的に日本人英語できないと言いますが、ほかのスポーツ、例えばモータースポーツとかテニスとかやっぱり海外に出ることが多いスポーツ選手は、日本人も、皆フツーにしゃべってますし。

    • カーンはアレキサンダー戦が取り沙汰されていますね。実現すれば両者にとってキャリアの分水嶺になる一戦でしょう。
      英語はやっぱり米国に拠点を置くなら話せないと困ると思います。何より本人にいいことがない。日本人ボクサーの場合は、米国には練習しにいくだけで試合はしない、もしくは単発で一試合だけという選手が多いのでハローサンキューだけでもまあいいかなとは思いますけど。現地で自分を売り込みたいなら現地の言葉が話せてほしいですね。

  2. donenea permalink

    マティセは神秘的なパンチ力の持ち主ですね。正直ピーターソン相手にこの勝ち方は驚きました。ガルシアとの試合が決まればぜひwowowに生放送してほしいです。ガルシアに勝てばメイウェザーと試合を組んでほしい。ややスピード感に欠けるところがあるので、メイのディフェンスに空転させられる可能性が高いですが、これだけパンチ力はあるので一発あたればという期待が持てます。やはり本物同士の試合はドキドキしますね。

    • 日本での知名度はさておいて試合の値打ちとしては確かに生中継級ですよね。メイウェザーはスピード不足のスラッガータイプはお得意さんにしていますが、マティセの危険度は半端ではないので期待感があります。

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