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KO決着 マイキーvsファンマ

2013年6月16日

テレンス・クロフォードvsアレハンドロ・サナビア

クロフォードはアメリカ内陸部のネブラスカ州出身のアフリカン・アメリカン。サナビアはメキシコの首都であるメキシコシティがホーム。ともに好戦績のプロスペクト同士のライト級十回戦は、お話しにならないほどクロフォードの圧勝だった。率直に言ってサナビアはかなりの戦績倒れだったと評する他はない。

クロフォードは前戦のプレスコット戦では相手の強打を警戒してサウスポー混じりのアウトボクシングに徹し完勝。今回は序盤で相手の戦力を見切ったのか、3R以降は相手を呑んだような波状攻撃でメキシカンを圧倒していく。サナビアは根性だけは見せたものの一方的に打ち込まれ、6R早々さほど強烈に見えない左フックで前転ダウン、立ち上がったもののストップされた。クロフォードは無傷の21連勝16KO。世界挑戦も近いだろう。

サナビアには中量級以上におけるメキシカンにありがちな悲哀があふれていた。相手のスピード、ハイテンポに全く対応できない。攻撃パターンが読まれっぱなし。防御が間に合わないのでボコスカでかいのを食う。なまじタフで一発があるために諦めず頑張るが、それによってかえってダメージが蓄積し負ける時にはボロボロ。それでもある程度重い階級だと国内の層が薄いためにちょっと強いと快進撃で戦績だけは立派なものになってしまい、満を持して挑んだ上位レベルの試合で完敗するという悲哀だ。そしてこれは日本人にもまるっきり当てはまる現象である。

もちろん例外は多い。同じ階級のミゲル・バスケスは階級随一のテクニシャン(塩とも言う)だし、もっと重いクラスにマルケス、チャベスJr.やカネロというスターがいる。たとえ人種の平均体格から見れば重いウェイトでも、競技人口が多ければ確率論として凄い逸材が出てくるという好例だろう。はたして村田諒太はこうした前例に続けるだろうかと試合とは関係ないことを考えてしまった。

マイキー・ガルシアvsファン・マヌエル・ロペス

Garcia-KOshot635_Fukuda

ザ・KOパンチ。

数年前、“ファンマ”が軽量級のスーパースターになると期待された時代が確かにあった。少なくともSバンタムで世界戦三連続初回KOを飾り、ジェリー・ペニャロサをもパワーで押し切った頃のファンマは輝いていた。もうあの頃のファンマはいない。

マイキーは前日計量において驚きの2ポンドオーバーで王座剥奪という失態を見せた。これによってマイキーは10万ドル以上の罰金を支払っている。本人曰く「先週病気になって満足な練習ができなかったので体重が落とせなかった。まだフェザー級でやりたい」のだという。しかし当日体重が142ポンドとフェザー級リミットを16ポンド上回っていたことを考えても、彼がこの先フェザーで戦い続けることが正解とは思えない。ちなみに昨日まで彼が保持していたベルトの元締めであるWBO会長は、Sフェザー級王者マルティネスとの対戦をTwitterでアピールしている。現状では今後の展開は霧の中だ。

しかし今日の試合に関しては確かなことがある。たとえウェイトの利がなかったとしても圧勝は揺るがなかっただろうということだ。それぐらい終始盤石の内容だった。なんといってもまずは左。そのグーンという伸び、相手の顔を跳ね上げる威力、真っ直ぐでもフックでもリードパンチとして使える芸の細かさ、そして何よりホーミング機能付きかと思えるような抜群の精度。よほどフットワークかディフェンス力がある選手でなければあれ一本で完全に制御されてしまう。そして相手をきっちり崩してチャンスを作ってからこれまた正確極まる顎先への右でノックダウン。これをやられてはもはやファンマに打つ手はない。技術的な完成度という点では現在の若手の中では随一だろう。

実際ファンマにやれたのは奇跡の一発狙いぐらいのものだった。たまに当たった好打が効果なしだったのはあるいはウェイト差のためだったかもしれないが、そこに敗因を求めるのはやはりキツい。それぐらいあらゆる距離、タイミングを支配されていた。フィニッシュは飛び込んでいったところを右で合わされ大きくぐらついたところで渾身の左フック一撃。完全敗北である。キャリア3度めのKO負けとなったファンマは果たして現役を続けるのか。この日の動きを見ても歴戦のダメージは相当に溜まっているように思えた。

圧勝のマイキーだが、ウェイトオーバーによって失った信頼はやはり大きい。これを取り戻すには今後数年をかけて質の高いパフォーマンスを見せていくしかないだろう。そのためにもここでフェザーに留まるという選択はしない方がいいと思う。内山がボスとして君臨するSフェザーが興行的な魅力に乏しいというのは事実だが……。

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3件のコメント
  1. KOKO permalink

    >国内の層が薄いためにちょっと強いと快進撃で戦績だけは立派なものになってしまい、満を持して挑んだ上位レベルの試合で完敗するという悲哀だ。そしてこれは日本人にもまるっきり当てはまる現象である。
    ですね~~!先日の亀海はモロにそれでしたね・・・・・

    正直重量級でも国を挙げてスカウト、育成みたいなことができるんなら、小柄な人が多い日本人でもそれこそヘビー級でもかなり世界に近づけると思います。だって柔道や相撲なんかヘビー級は普通にいるわけで。
    最近は入門の時点で質が低下したと言われているようですが、力士なんか昔は体がデカくて尚且つ、でくのぼうではなくて、身体能力がずば抜けてる人が力士にでもなるか、となっていたわけです。そういう人材が本気でボクシングに取り組めば、いけるでしょう。もし日本人なだけで、先天的な身体能力が云々というなら、それは軽いクラスだって同じことです。結局個人競技ですからね。日本では体が大きな人はボクシングなんかやってないんですもん・・・・・・でも実はアメリカでも結構同じだったり(笑)アメフトやバスケ、野球やりますからね・・・・

    ガルシアがS・フェザーに来たら面白いんですがね~ガンボアは完全に射程圏内からはずれちゃったし、そもそも評価下がってるし。

    • ボクシングは要求される能力が実に多彩で、何かが劣っていても他の何かが優れていればそれにふさわしい戦い方が見つかるようになっていますから、特定の人種には向いていないなんてことは絶対ないと思います。
      だから問題は日本人の身体能力がどうこうではなく、やはり平均体格。数少ない大型アスリートを他のメジャースポーツと取り合えばどうしても人材が乏しくなってしまうわけで。
      これを解決するには……地道に育成していくしかないんでしょうね。国を挙げてというのはプロではなくアマチュアの本分で、その最高傑作が村田ということなんでしょう。それだけに村田の行く末には注目が集まります。

      • KOKO permalink

        >国を挙げてというのはプロではなくアマチュアの本分で、その最高傑作が村田
        まったくそうですね。ただ村田って特にトレーナーもいなくて、殆ど独自に練習して強くなったんですよね。
        スパー相手だって恵まれてないし、他の国のオリンピアン、ましてメダルを狙うなんて選手で、そんなのほかにいるんですかね?
        だからアマ連のトップがやたら恩着せがましいセリフをいってたときはちょっとムカつきました。
        『俺らが育てた』みたいな顔あそこまでするんなら、村田ほどの有望選手、もっと練習環境など優遇されててもよかったんじゃないかと思ってしまいました。

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