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ロシアの新怪物:セルゲイ・コヴァレフ

2013年6月21日

ロシアという土地は格闘技の大金脈だ。ボクシングはもちろんのことレスリング、サンボ、柔道、総合格闘技etcetc…かつて世界を二分した超大国の片割れには他のどの国とも異なる“凄み”がある。では今、ロシアで最も危険なボクサーとは誰か? 恐らくその答えはセルゲイ・コヴァレフだ。83年生まれのライトヘビー級、戦績は21勝19KO1分で現在のトレーナーはジョン・デビッド・ジャクソン。その実力に反して長く日陰の存在に甘んじてきた怪物に、いよいよ表舞台で大暴れする時がやってきた。あのバーナード・ホプキンスが持つIBFライトヘビー級の挑戦者決定戦に勝利したのである。

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彼の出身地は先日の隕石落下で一躍名を馳せたチェリャビンスク州だ。カザフスタンとの国境に面するこの地は第二次世界大戦時代に兵器製造の重要拠点となり、「戦車町」とも呼ばれたという。コヴァレフはそんな重量感たっぷりの故郷からやって来たにふさわしいパワーと破壊力を持っている。

なんといってもその強靭な肉体と腕力は誰にとっても脅威だ。しかも決して力に頼っているわけではなく、アマ193勝の実績にふさわしい基礎がある。連打の回転が実にスムーズでしかも一つ一つのショットが正確で、強い。ライトヘビーにしてはスピードもある方だしディフェンスにも安定感がある。要するにトータルの基本性能が高いのだ。

11歳の時に小学校の隣にあったジムの門を叩いたセルゲイは、ロシア選手権や世界軍人選手権などの大会を制した後、09年にプロ入りのためアメリカに移住する。当時も今もロシアのプロボクシング市場はまだまだ未発達であり、自国に山ほど埋もれている金の卵を自前で育てるに充分なものにはなっていない。プロ入り後しばらくは格下相手にイージーな勝利を積み重ねたコヴァレフだったが、10戦目で歴戦のゲートキーパーとして名高いダーネル・ブーンにダウンを食いスレスレのスプリット判定勝ちという苦戦を味わう。現在に至るまでこの試合がコヴァレフ最大のピンチだ。唯一の引き分けは2R負傷引き分けという評価の対象にならないものである。

コヴァレフにブレークのチャンスが訪れたのは去年の9月だった。全米中継付きで元王者ガブリエル・カンピーリョとの対戦という大きな試合が組まれたのだ。しかしこのカードは直前にカンピーリョの負傷でキャンセルの憂き目に合う。だからといって落ち込んではいられないコヴァレフは代役を鮮烈な3RKOで沈めてみせた。この派手な勝利がテレビ放送されたことにより、ボクシングマニアの間でにわかにセルゲイ・コヴァレフの名が広まり始める。そして今年1月にカンピーリョとの対戦が再セットされ、この難敵相手に驚きの3RKO勝利を飾った。直近の試合でタボリス・クラウドを追い詰めたカンピーリョを全く寄せ付けない圧倒的な勝利により、コヴァレフは一気にライトヘビーで最も危険な男とまで呼ばれるようになる。

先週末のIBF挑戦者決定戦はまさにそんなコヴァレフのショータイムとでもいうべきものだった。相手のコーネリアス・ホワイトも決して悪い選手ではないが、あまりにも相手が悪すぎた。コヴァレフは初回のゴング直後から一方的に打ちまくって計3度のダウンを浴びせ、実に3試合連続となる3RKO勝ち。文句なしの実績で指名挑戦者の地位を獲得した。

この試合の結果を受け、IBFは間髪入れずにホプキンス―コヴァレフ戦の指令を出した。タイトル管理が厳格なことで知られるIBFだけにこれを拒めばB-HOPの王座剥奪は必至。この危険過ぎる――しかもリターンの少ない指令について、長老ホプキンスは自身のTwitterにてこう発言した。「俺はIBFの決定に敬意を払い、受け入れる」

垂涎の好カードが実現する気配が一気に高まった。ただしホプキンスではなくWBO王者のネイサン・クレバリーに挑戦するプランもあるという。いずれにせよ次戦が世界挑戦になることはほぼ間違いない情勢のようだ。

追記:ホプキンス戦ではなく、WBO王者ネイサン・クレバリーへの挑戦が決定したとのこと。試合は8月17日に行われる見込み。

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2件のコメント
  1. KOKO permalink

    L・ヘビーはイマイチ盛り上がりに欠ける階級ですが、それならばせめて力ある選手には、4団体統一を目指してもらいたいです。いうほど簡単じゃないことはわかりますが・・・・
    コヴァレフ、強いですね。アマ時代はL・ヘビーだったし、ウォードはやらないですかね。でもウォードがL・ヘビーにあがっちゃうとGGGとの対戦が難しくなってしまうので悩ましいです。

    ロシアはクルーザーの北京五輪金メダリスト、チャキエフもついに世界アタックしますね。16戦全勝12KOと少なめのキャリアですが、村田もこんな感じで世界戦までいきそうですね。
    クルーザーもまた地味な階級ですが、チャキエフは一番強くてエキサイティングな選手でしょう。正直キャラやロシア人ということを考えると、世界的には地味キャラの部類でしょうが、それでもこのクラスの中ではスタイル的には人気が出そうな選手です。タイソンよりもう少しスリムなくらいで、サイズ的にもにかよっていますが、パワフルだし、五輪金の技術もある。WBC王者ブロダルチクも決して弱い選手ではないですが、ここは王座についてもらって、フック、レベデフらとの対戦がみたいですね。

    • チャキエフには期待しています。今のクルーザーで一番ポテンシャルを持っているのは彼でしょう。
      ライトヘビーとクルーザーは伝統的に地味だ地味だ言われてますけど、僕は結構ずっと楽しんでますよ。コヴァレフとスティーブンソンは絶好のプレーヤーだと思います。

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