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結果 ゲナディ・ゴロフキンvsマシュー・マックリン

2013年6月30日

マシュー・マックリンはゴロフキンにとって過去最大のテストマッチと言われた。石田順裕よりパワフルで、ガブリエル・ロサドより経験豊富で、グジェゴジ・プロクサより頑丈なマックリンならあるいは怪物GGG相手に善戦できるのでは、という声は一部ながらあったことは事実だ。英国からやってきた挑戦者にはフェリックス・シュトルムに地元判定っぽい僅差負け、セルヒオ・マルティネスにダウンを奪い大健闘しながら逆転KO負けと、世界レベルでの実績がある。挑戦者勝利のオッズは7.5倍。これはかなりのアンダードッグだが、石田順裕が13倍だったことを思えばまだ評価されている方だ。

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だがしかし、蓋を開けてみればお話しにならないほどゴロフキンの圧勝だった。

試合開始直後からもう挑戦者の腰が引けまくっている。押しまくる王者が強打を振るうと挑戦者は必死でクリンチ、ホールドしながら逆転サヨナラホームランを狙って振り回すのみ。あらかじめ用意してきたであろうあらゆるプランがあっけなく塵になった瞬間だった。マックリンも決して弱打者ではないのだが、パンチの音と力感に差がありすぎる。2R終盤には早くも挑戦者の左眉が切り裂かれ顔面が変色し、打つ手なしの様相に。3R、マックリンは腹をくくって捨て身の打ち合いに挑むが結果として自身の寿命を縮めただけだった。ロープに追い込まれ、左右アッパーでガードを前方に固めさせられてからのレバーブロー一閃で勝負あり。ボディブローの効用としてよく挙げられるディレイドリアクションなどという生易しいものではなく、食らった瞬間マックリンは垂直に落下していった。

とにかく強い。他にどう表現しろというのか。パワーがあるのはわかりきっていることだが、この日は――というかこの日も――分厚い技術がパワーをしっかり支えていた。解説のアンドレ・ウォードも舌を巻いたリングをcut off する匠の技はそれだけでも教科書に載せたくなるほどのものだ。(※cut off the ring…相手をロープ、コーナーに追い詰めてリングを狭く使うこと)

もう少し具体的に言うなら、一見ゆっくり歩いているように見えて相手のフットワークにピタリとついていく足運びや、動く相手に吸い込まれるように届く左の精緻さと多彩さ。そしてそれら追うためのパンチになぜかどっしりと体重が乗っていて、決して打ちながらバランスを崩すことも足が止まることもないという驚異的な重心の安定感。ここまでやられるともはやリングに逃げ場はなくなる。

もちろん爆発的な強打もいつも通りだ。まるで強く打っているように見えないリラックスしたモーションのパンチが恐ろしく強く、その異常な的中率の高さときたらたまらない。今回、パワーショットの命中率はなんと52%。あの強打をこんなにも正確に打たれたらどうしろというのか? 同じミドル級のピーター・クイリンもデビッド・レミューも破壊力では引けをとらないものを持っているが、的確さでは遠く及ばない。

相手はいつもこのとてつもない圧力とパンチングパワーに圧倒され、戦術も何も霧散して飲み込まれてしまう。リング上のマックリンの表情は「なにこれ、こんなのありえないっしょマジで」てな具合にドン引きしているようにさえ見えた。恐らく挑戦者だけ軍手で殴ることを許可されても結果は変わらなかっただろう。砂鉄入りグローブならあるいは勝てたかもしれない。

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マックリンはダレン・バーカー、マーティン・マレーと並ぶ英国ミドル級三大スターの一角だ。全員同じ82年生まれで同時期に世界への階段を駆け上がっていった彼らに母国のファンがかけた期待の大きさは想像に難くない。しかし3人合わせてこれで世界挑戦6連続失敗。8月17日のギールvsバーカーで負ければ7連続。はじめの一歩の青木・木村状態になってきた彼らだが、果たしてバーカーは奇跡を起こせるだろうか。

そして強すぎるゴロフキンの今後はもっと気にかかる。ロシア系の父と朝鮮系の母から生まれた彼を勝手にパッキャオに続く新・アジアの至宝に認定させてもらうとして、はたしてこんなのとやりたがる男は現れるのか。黄昏のマルティネスではもはや厳しく、クイリンではまだまだ青すぎる。今のところ目下の標的はギールvsバーカーの勝者であり、将来的にウォード戦も見据えているようだ。本人はメイウェザー戦を希望しているがいくらなんでもこれはありえないだろう。興味深いことに陣営の計画では8月か9月に一戦こなし、年末にもう一度リングに上がる目論見だという。実現すればなんと年間5試合。近年こんな世界王者は他にいない。あらゆる意味でカザフの怪物GGGから目が離せなくなってきた。

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6件のコメント
  1. (。-`ω´-)ンー permalink

    英語もなかなかのものだったチャンプGGG♪
    腰が引けてエビみたくなっていくマックリンが可哀想でした(´。・ω・。`)
    1Rだけでパンチの威力を体感したのでしょうね……
    とはいえ心配なのはチャンプの拳。あれだけ破壊的なものをもっていると拳~肩までの負担も相当なものでしょう。ケガせずスター街道を歩んで欲しいものです。相手に困るでしょうけど…………(゚∀゚ ;)タラー
    ミドルで待ってるとアルバレスが上がってくるかも?orそれが無理ならSミドル行きでしょうか。

    • そういえばゴロフキンはなかなか拳を痛めませんねえ。
      クイリン、レミューは拳の故障がなければ出世が1、2年は早まっていたはずと考えると、ゴロフキンの頑丈さはまさに天賦の才ですね。それとも何か練習法に秘訣があるんでしょうか……?

  2. もうマルチネスがやりたくないと言うのであれば、やらなくてもいいんじゃないでしょうか?
    もし実現したとしても、オッズはゴロフキンに傾くでしょうね。ミドル最強とみて間違いないかと思います。

    • マルティネスは既にファイターとして証明すべきものはしているし、稼ぐべき分は稼いでいるとは思います。
      ゴロフキン戦の実現は完全にマルティネスの自由意思次第でしょうね。

  3. CAMARO permalink

    初めてコメントします。

    いや〜強かった!強すぎる!
    大ファンのマルチネスを苦しめたマックリンならもしかして?なんて思ってましたが、あまりにも一方的な内容になりましたね。
    ミドル最強は間違いないでしょう。
    Sミドル、ウォード戦も視野に入れてるみたいですが、攻略できるのか見ものです。
    ただ体格差が気になりますが。

    • マックリンよりゴロフキンのほうが遥かに上ということは確定しましたが、マルティネスが万全なコンディションを作ればまだ勝ち目はあると思います。とはいえ勢いの差は絶大ですが……。
      Sミドルでのゴロフキンは間違いなく体格の不利に直面すると思います。といってもウォード、フロッチクラスでなければ地力の差で難なく破壊されてしまうでしょうね。この二人とGGGの激突なら……想像しただけでワクワクしますね。

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