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モナコ興行第二弾 ロドリゲスvsグラチェフ他

2013年7月14日

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モナコは人口わずか3万6千人、面積に至っては2平方キロメートルという、世界で2番目に小さな国だ。フランスの地中海沿いにちょこんと位置するこの国は、しかしカジノやF1グランプリによって世界的に知られる豪華絢爛な観光国家でもある。そのモナコの中心地モンテカルロにおけるボクシングの歴史は意外に古く、70年代にはミドル級の名王者カルロス・モンソンの防衛戦を4度も誘致するなど大規模興行を開催した実績がある。ベガスやマカオと同様、モンテカルロにおいても大手カジノの集客と宣伝のツールとしてボクシングが活用されたわけだ。

そんなモナコが久々にスウィート・サイエンスに手を伸ばしたのが今年の3月30日、あのゲナディ・ゴロフキンと石田順裕が戦ったイベントだった。GGGの破壊的な強さのおかげもあってこの野心的な興行は無事成功を収め、予定通り第二弾が開催される運びになった。

モンテカルロ興行の特徴のひとつは、出場選手が非常に国際色豊かという点にある。第一弾では12選手が出場しその出身国は9つにも及んだ。第二弾は4試合8選手に小型化したが、なおも6カ国から選手が集まっている。この多国籍ぶりの背景にあるのはその独特の収益構造だろう。興行はカジノのホールで行われ、収容観客数は1000人程度。その分チケットが非常~にお高く設定されているため、観客は優雅なお金持ちが多い。ファンベースの大きな選手を看板にして多量のチケットを売りさばくのではなく、カジノ側が物珍しいイベントを売りに上客を招いて利益を上げる仕組みになっているというわけ。同時に世界各国のスポーツテレビ局に薄く広く放映権を販売することで稼ぎを増やす目論見のため、出場選手はなるべくいろんな国から集めたほうが都合がいい。自国のマーケットに縛られた大国のスター選手――あれこれと交渉が面倒くさい――を必ずしも必要としていないのはそういうわけだ。

ドミトロ・クチャ―vsイルンガ・マカブ

二人とも国際的には無名もいいところだが、確かな実力を誇る新鋭同士のWBCシルバー・クルーザー級王座決定戦。クチャーは今やボクシング王国になりつつあるウクライナの強豪で、元WBA暫定王者ヘレニウスを2回で倒すなど勢いに乗る28歳。ここまでの戦績は21戦全勝15KOで各団体において上位にランクされており世界挑戦も間近と見られている。対するマカブはコンゴ民主共和国出身の25歳で、南アにおいてプロキャリアを積んできた未知の新鋭。デビュー戦で初回KO負けの憂き目に遭いながら、以降13戦全てをKOで勝ち進んできた。前回のモナコ興行では前座において圧勝し実力をアピールしている。

下馬評は実績で上回るクチャー優位のこの一戦、蓋を開けてみればマカブのリズミカルな強さが光った。体が柔軟で力強く、パンチが多彩でしかも的確。クチャーはいかにも東欧の強豪らしく頑強で心技体を兼ね備えていたが、意外な角度から突き刺さるマカブの強打に対応しきれない。それでも前進し続け手を出し続けたクチャーの良い場面も随所に見られたものの、両者の受けたダメージの違いは明白だった。12Rを終え判定は2-0でコンゴの若者を支持。一人ドローのジャッジがいたことが信じられないほどマカブの才能が光っていた。

マカブに課題があるとすればスタミナと手数だろう。あんな頑丈でパワフルな相手に終始粘られては疲れるのは当然だが、世界を狙うならもう少し攻撃時間を増やしたい。それができていれば判定でヒヤリとすることもなかったはず。とはいえ非常に見所のある新鋭であることは間違いない。

カビブ・アーラフベルディエフvsソレイマヌ・ムバイエ

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堕ちた天才ホアン・グスマンの長い無敗ロードを終わらせ、空位のWBAレギュラー・Sライト級王座を獲得したカビブの初防衛戦。相手は10年前からずっと上位戦線に居座る歴戦の元王者ムバイエだ。予想は大きくカビブに傾いていたが、ムバイエはベテランの意地と粘りを遺憾なく発揮してみせた。

2回、8回と痛烈なダウンを浴びたムバイエがそのたびに頑強に反撃し戦況を押し戻す。カビブには初防衛戦特有の硬さも見られ、決して思い通りとは言えないしんどい展開。それでも地道に優勢をキープした王者が11Rについに挑戦者を腰砕けにし、一気呵成の連打でレフェリーストップを勝ち取った。ストップ自体はやや早かったが、それまでのダメージの蓄積を考慮してのものだろう。

サウスポーのカビブはいかにもロシアのエリートらしいフィジカルの頑丈さと闘争心を備えている。今日の試合は必ずしも出来が良くなかったとはいえ、もっと優れたパフォーマンスを見せるだけのポテンシャルはある。芸幅はちと狭いが、正面から真っ向攻めるわかりやすいスタイルは誰と組ませても見応えがありそうだ。ガルシア、マティセー、リオス、アルバラード等々、この階級は役者には事欠かかない。

エドウィン・ロドリゲスvsデニス・グラチェフ

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世界戦を差し置いてメインに抜擢されたのは、モナコ第一弾から引き続いて開催された「モンテカルロ・ミリオンダラー・スーパー4トーナメント」の決勝戦。勝者には60万ドル、敗者には40万ドルが分配されるという興味深い試みだ。ロドリゲスはアルゼンチンの新鋭マデルナを、グラチェフは元二階級制覇王者エルデイをそれぞれ判定で破りこの決勝の舞台に駒を進めてきた。

オッズは技術で上を行くロドリゲス優利ながら、パワーとタフネスを誇るグラチェフ勝利の可能性も大いにあると見られていた。ところがどっこい、なんとロドリゲスは試合開始直後に猛然と攻めまくりいきなりダウンを奪う。面食らってしまったグラチェフはそのまま攻勢に飲み込まれ痛烈な二度目のダウン。実質このダウンで勝負は決まった。更なる連打で大きくぐらついたところでレフェリーが割って入って勝負あり。あまりに唐突で突然な、予想外の決着だった。

これはロドリゲスの作戦勝ちそのものだ。お互いのファイトスタイルを考えればロドリゲスはじっくり時間をかけてゲームメイクしていくと誰もが思っていたはずで、当然グラチェフもそれを前提にプランを立てていただろう。その裏をかく鮮やかな奇襲、そして対応する暇もないままの決着。この作戦を考えたのが誰であれ特別ボーナスものだろう。

さてロドリゲスの次戦は世界挑戦の可能性も高そうだが、果たして誰に挑むのか。この試合はSミドルとLヘビーの中間ウェイトで行われたが、普段のSミドルでの試合より動きが良かったようにも見える。ひょっとしたら階級を上げたほうが成功できるかもしれない。

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