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特選プロスペクト総まとめ Part 1

2013年12月31日

2013年はボクシング史に燦々と輝くビンテージ・イヤーになった。次から次へと繰り出されるビッグマッチ、好カードの数々と期待に違わぬ熱戦の連続。これほど最初から最後まで楽しめた1年はどれほど久しぶりだろうか? もちろん今年の総括をするにはまだ東京・大阪それぞれで開かれる大晦日興行の結果を待たねばならないが、21世紀に入って以来最高のボクシングイヤーの一つだったということは自信を持って断言できる。

ではこの盛り上がりは黄昏の斜陽スポーツが最後に見せた儚い打ち上げ花火だったのか? 違う。その証拠に、次世代を担ってくれるであろう一級のホープたちが次から次へとプロのリングに現れているのだから。

本ブログでは2014年中にも世界獲りに挑むかもしれない成熟したホープをPart 1で、今後の成長が期待できるフレッシュな新星をPart 2で取り上げて行きたい。二つのカテゴリーの間に明白な線引きはない。プロで一戦しかしていないのにPart 1に属する「あの男」もいるし、試合数は多くともまだ当分下積みが続きそうな若手はPart 2に挙げている。

Part 1

井上尚弥

E4BA95E4B88AE5B09AE5BCA5E38390E382B9E38388E382A2E38383E38397ライトフライ級、5戦5勝4KO、日本。こんなムダ知識の塊みたいなブログに来ている読者の皆さんに今更この男の説明は不要だろう。ボクシングに本腰を入れ始めたフジテレビが、村田諒太と並ぶ2枚看板として熱烈にプッシュする日本のトップホープだ。そのセンスと身体能力は誰の目にも疑いはなく、ルックスまで良好となればスターダムは半ば約束されたようなもの。しかし現状ではまだ攻防ともに一本調子でやや奥行きに欠け、特にディフェンスはちと危なっかしい。今すぐ王者クラスとぶつけるのは流石に気が早いのではと思うのだが……。

ジェシー・マグダレノ

web1_BOX-MAGDALENO_060813jb_02スーパーバンタム級、17戦17勝13KO、アメリカ。必要以上とも思える低い構えのサウスポースタイル、そこから繰り出される竜巻のような猛攻のなんと痛烈なことか。攻めるのはいつだって先手、一度捕まえれば後先考えず一気に仕留める、そんな若々しさと荒々しさに満ちた魅力溢れる22歳だ。兄ディエゴもSフェザー級の世界ランカーだが、才能ではこちらが上。時として少々攻め急ぎ過ぎの感もあるが、新鋭はこれぐらい元気が溢れている方が気持ちがいい。このスタイルのまま世界まで突っ走っていけるかどうか、楽しみに見守りたい。

ゲイリー・ラッセルJr.

Gary_Russell_Jr.フェザー級、23戦23勝13KO、アメリカ。この男がホープと呼ばれてからどれほど経っただろう? わずか17歳で世界選手権銅メダルに輝いた超天才もいつの間にか25歳。2013年は勝負の年と言われながら結局勝負することなく、またしてもホープのまま新年を迎えてしまった。直接の原因は慢性化しつつある拳の故障。この持病をどうにかしなければ輝かしい才能もいつか錆び付いてしまうだろう。とはいえ、その弾丸のようなスピードと爆発力はやはりどうしたって捨て置けない。どうか今年こそ飛躍の年になってほしい。

ヴァシル・ロマチェンコ

Img214578930フェザー級、1戦1勝1KO、ウクライナ。ご存知五輪2連覇にして世界選手権2連覇、アマチュアPFPと呼ばれ続けた生ける伝説ロマチェンコがついにプロの舞台にやってきた。それもデビュー戦で叩き上げ世界ランカーのホセ・ラミレスを一方的に粉砕するという強烈なパフォーマンスを見せつけて、だ。ロマチェンコの第二戦は3月15日、WBOフェザー級王者オルランド・サリドを相手に行われる。即ちプロ二戦目での世界挑戦であり、勝てばもちろん世界記録。脅威の大天才が歴戦の古豪を相手にどんな戦いを見せるのか、そしてその先にどんなキャリアを描くのか。我々は新しい歴史の始まりを目撃しているのかもしれない。

ディエリー・ジャン

dierryスーパーライト級、25戦25勝17KO、ハイチ→カナダ。31歳という年齢はホープという枠の中ではかなりの高齢だが、その躍動感溢れるボクシングからはまるで年齢を感じさせない。柔軟かつリズミカルでハイセンス、しかも一発のあるスタイルはまさにカリブの一流パンチャーのそれだ。1月25日にIBF王者ラモント・ピーターソンへの挑戦が決まっており、勝てば強豪ひしめくこの階級で一躍表舞台に踊り出ることになる。もちろんマティセーに破壊されたとはいえ一級の実力を持つピーターソンがそう簡単にタイトルを譲るはずもなく、目の離せない攻防が期待できる。

ミカエル・ズースキ

i_fd159793f00b6281b35ea5495cac4430Mikael_Zewskiウェルター級、22戦22勝17KO、カナダ。躍進著しいカナダ中量級の中でもスター性という 面で一際輝いているのがこの24歳の優男だ。攻撃的で切れ味抜群のそのスタイルは誰が見ても魅力的で面白い。そしてそのKOシーンの数々のなんと鮮やかな ことか。最近では攻防両面で洗練さが増し、単なるローカルホープの域を完全に超えつつある。とはいえ超激戦区のこの階級でそうやすやすと頂点は狙えない。 14年は世界を見据えたテストマッチに挑む年になるだろう。

ジャーマル・チャーロ

2012 HBO Boxing:  Jermall Charlo vs Shawn Wilson - March 24, 2012スーパーウェルター級、17戦17勝13KO、アメリカ。双子ボクサー チャーロ・ブラザーズの中でも攻撃力という面で特に輝いているのがこのジャーマルの方だ。ハーンズチックなデトロイトスタイルから眼を見張るようなフリッカーの連打で徹底的に相手を痛めつけ、満を持しての右で仕留める。たったこれだけのシンプルなスタイルながら実に強い。従来は怪我の影響などでブランクがちのキャリアだったが、13年は7戦全勝全KOという破竹の快進撃で一気にトッププロスペクトとして名を挙げられるようになってきた。もちろんどの試合も相手が可哀想になるほどのワンサイドぶり。いよいよワールドクラスの相手とぶつかる時が来たと言えるだろう。

デビッド・レミュー

david-lemieuxミドル級、33戦31勝29KO2敗、カナダ。通常2敗を喫している選手がプロスペクトとして挙げられることは非常に少ない。レミューの場合負けたのはデビュー当初の無名時代ではなく最近のことなのだから尚更だ。しかし彼にはいくつ敗北が刻まれようとも決して色褪せることのない魅力がある。パンチがあるということ。それも全階級通じてのPFPパンチャーではと思わせるほどにとてつもない強打の持ち主であるということだ。たった二度の負けがなんだ? この豪打がある限り、ファンは必ずレミューの試合に足を運ぶ。ハードパンチャーこそボクシング最大最高のアトラクションだからだ。

ジェームス・ディゲール

James+DeGale+v+Vepkhia+Tchilaia+KJ9wqzQjV8nlスーパーミドル級、18戦17勝11KO1敗、イギリス。フロッチ戦のサプライズで評価急 上昇のジョージ・グローブスにスレスレの判定で敗れた元金メダリスト。リベンジに燃える技巧派がいよいよ世界を間近に見据える位置にまでやってきた。パ ワーはさほどでもないが、変幻自在でトリッキーかつ精力的なそのボクシングは打ち合い好きな一般のファンにとっても決して退屈なものではない。フロッチ、 グローブスとの国内ライバル対決はもちろん、世界中の強豪たちと見応えたっぷりの攻防を展開してくれることだろう。

エレイダー・アルバレス

IMG_4384ライトヘビー級、13戦13勝8KO、コロンビア→カナダ。とかくパワー偏重の一発屋が目 立つコロンビアのボクシング界において、このアルバレスの完成度の高さは際立っている。ハンマーのような豪腕を持ちながら決してそれだけに頼らず、基本を しっかり備えた技術と総合力でもって徐々に相手を痛めつけ、仕留める。実に上質で隙のないボクシングを展開するのだ。最大のテストマッチとなったエ ディソン・ミランダ戦では心身ともにタフさを備えていることも証明した。1月18日には同じく無敗のトーマス・オースイゼンとWBCシルバー王座を争う。 これが世界獲りに向けた最終関門となるだろう。

イルンガ・マカブ

663025_334276クルーザー級、16戦15勝14KO1敗、コンゴ民主共和国→南アフリカ。誰かコンゴのボクサーって 知ってる? 2014年は世界がイルンガ・マカブを知る年になる。アフリカンファイターの先入観を打ち壊すハイレベルな技巧と多彩なコンビネーション、抜群のセンス、そしてここぞという時の一発! およそスターになるために足りないものが見当たらない。そんな彼に2月1日、最大の試練がやって来る。地中海はモナコの地で前WBOライトヘビー級王者ネイサン・クレヴァリーとの豪華サバイバルマッチが決定したのだ。クレヴァリーは確かに強豪だが、僕の予想は断然マカブ。それぐらいのポテンシャルが彼にはある。

マイク・ペレス

Mike_Perez_6_Webヘビー級、20戦20勝12KO、キューバ→アイルランド。アマ帝国キューバのエリートにして世界 ジュニア選手権王者。この肩書で弱いはずがない。ヘビー級らしからぬ技巧と柔軟さがあり、それでいてパワーも兼ね備えているそのスタイルは単純に見ていて面白いし、何より強い。同じキューバのオドラニエル・ソリスと比べれば体型からしてボクシングに対する熱意の違いが明らかだ。残念ながらソリスは才能を浪費させてしまったが、このペレスにはまだまだ大きな可能性がある。1月18日、ペレスはカルロス・タカム戦で二度目のHBO登場を果たす。これに勝てば 三度目は大舞台が用意されることだろう。

デオンテイ・ワイルダー

Deontay+Wilder+Amir+Khan+v+Julio+Diaz+66ryXN9wXJaxヘビー級、30戦30勝30KO、アメリカ。もちろん知っている。対戦相手の質が今だに低いということも、技術的に穴だらけだということも。で、それがどうした? これはヘビーウェイトのボクシングだ。ワイルダーはヘビーウェイトのボクサーだ。ワイルダーは爆発的強打であらゆる敵をぶっ倒す、全勝全KOのヘビーウェイトのボクサーだ。そしてこれこそ僕が待ち続けていたものだ。彼が本当に頂点に立てるのかは誰にもわからない。ビタリが身を引いた今、頂点とは即ちウラディミール・クリチコのこと。あの怪物相手に一発強打だけではどうにも心許ないのは確かだ。でも一つだけ聞きたいことがある。ウラディミール・クリチコvsデオンテイ・ワイルダー。この戦いを「クリチコの試合は退屈だから見ない」なんて選択がありえるのか? 実現を祈る。

 

Part 2

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10件のコメント
  1. みっちー permalink

    ジーコさんはじめまして。

    今年はやっぱりロマチェンコが気になります。
    強豪ひしめくフェザー級の中でも、群を抜くボクシング技術。
    ロマチェンコ旋風を巻き起こしてくれるでしょう。

    興行的には盛り上がらないかもしれませんが、ロマチェンコvsリゴンドーも観てみたいカードですね(ロマチェンコがキャリアを積むまで先伸ばしてほしいのが本音ですが)。

    いずれスーパースターになれる選手だと思っています。
    次世代P4P……!?

    • はじめまして!
      ロマチェンコには僕も非常に期待しているんですが、やはりプロ二戦目で戦う相手がサリドというのがちょっといくらなんでもキツくないかとも思っています。はたしてどうなるか、不安と期待が入り混じった複雑な気持ちというのが本音ですね。

  2. ぎゃびらん permalink

    はじめまして。
    マカブーの相手クレヴァリーはLヘビー級あがりで、まだ間がないのでマカブーとは体が違うのではないでしょうか? 身長はありますが。

    ザイールはセンサクやマンビーに挑戦していたキンプア二とか、マッカラムに初?黒星つけたカランベイがいましたっけ。

    • クルーザーとライトヘビーとの差は実に25ポンド、Sバンタム・ウェルター間と同じだけの差がありますから当然の感想だと思います。ちなみに比率に直すとライトヘビーはクルーザーより12.5%軽く、これはミドル級とSライト級の差に相当します。しかし今回はクレヴァリー自身が俺はクルーザーのほうが強いぜと息巻いているのでお手並み拝見といったところでしょうか。

  3. ボロカブサムライ permalink

    個人的にはワイルダーとゲイリーラッセルJR、ロマチェンコ、チャンピオンもヘビー級はクリチコ、ポベトキン、フェザー級もサリド、ウォータース、ドネア、ジョニゴン、マレスと面白い対戦が見られそうです。井上はライトフライ級・・・ロマゴンがフライ級に上げそうなので、チャンピオンにはなれるでしょうけど、自分はフライ級以下は選手層が薄いので興味が無いです。欧米では、最低でもバンタム以上で無いとメインは張れないでしょうし、やはりガラパゴスチャンピオンになるのでは?

    • フェザー級は誰をどう組み合わせても面白そうですね。
      井上は本人自身がアメリカ進出より日本でビッグになることを志向していますし、実際その路線でしょう。ただしマカオでビッグマッチに出場しそれが世界中で放送される、という展開はもはや有り得ない話ではないと思います。

  4. CAMARO permalink

    井上は日本でちまちま防衛するんじゃなくて世界で戦うチャンピオンになってほしいですね。
    だから出世を急いで欲しくない。

    ラッセルJrは2014年こそ行けるでしょうか?
    リーチは極端に短いけどあのスピードは魅力的です。
    確かオリンピックには行ったけど減量失敗で試合できなかったんですよね?
    同じフェザーにいる五輪連覇のロマチェンコと試合したら面白そう。

    • コメントありがとうございます。
      そんなに急いでどこに行く、というのは井上に限らず日本の天才型育成に付き物の批判ですね。アマエリートにもじっくりキャリアを積ませるのが当たり前という世界の潮流の中でひたすら異彩を放つロマチェンコの行く末共々、期待と不安が入り混じった複雑な気分です。

  5. KOKO permalink

    相変わらず、面白いです!他にこんなブログないです。
    井上は身体能力は、一般人並みみたいです。握力とかも。何かのTVでやってましたが、ああいう検査とかで、断片的に見る数字とかによる『身体能力』はあまり意味ないと思ってます。ただ体幹の強さ、バランスは抜群にいい、これが抜けているんだと言っていましたね。ボクシングにおける身体能力が高いか低いかは、結局実際の試合での動きから総合的に判断するしかない。その意味で、井上は抜群の身体能力の持ち主といえるでしょうね。

    マカブは初めて知りました。コンゴ人!こーいうマイナーな国から出てくる選手、応援したくなります(笑)
    クレヴァリーもショッキングなKO負けから、どうやらシビアな相手と戦うことになりそうなんですね。
    映像みたいですね。
    レミューはすっかり名前を聞かなくなってしまいましたが・・・・
    自信を失ったら、ハードパンチも色あせてしまうと思います。奮起を期待したい。GGGVSレミュー見たいですね。

    • いつも嬉しいコメントありがとうございます。
      ボクシングに限らず、汎用的な手段で測定出来る「身体能力」の意味をアスリートの世界において過度に重視してはいけないと思います。結局は本番で強い奴が強い、という身も蓋もない話になってしまいますが(^_^;)

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